目立てNo.2

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全ての目を擦り込みますと本身抜け具合が変わります。

詰まった状態になりますと使用中の摩擦熱により目の側が

伸びて逃げ場を失い変形し、使いにくくなってしまいます。

そこで、「アサリ出し」の前に「狂い取り」をします。

曲がり修正のみが「狂い取り」ではありません。

 

写真は上方向から「曲がり具合」を見た図

かなり大きく曲がっています。

「縦の狂い」が写真であり「横の狂い」も

 同じように有りましたが撮影は難しくて

 出来ませんでした.

さいわい、「詰まり」は無かったので

 容易に曲がりを直す事が出来ました。

本身の内部の狂いは当然有りましたが

 それなりに修正しました。


< 「ひっこき」を再々度 施して、ようやく「アサリ出し」です 

 

(画像はGIFアニメ)

 

 

 

 

金床に、しっかり固定して、強さを加減しつつ一本を数度叩いて曲げます

 

下は”金床”とサイズが異なる”アサリ槌”

 

 

目の幅に合った槌を使います

 

 

行程 "アサリ出し" と<終了図>

 

 

 

出し過ぎるとバラけて挽きにくくなり、足りないと鋸身の動きが渋ります

 


< 更に「ひっこき」を施して、ようやく「刃摺り」です 

やすりを”送る”速度は

 要注意!

ヤスリの目、一本一本が

しっかり鋼に食い込むように

力と速度を加減する。

 うっかり滑らすと、

鑢は切れなくなってしまう。

裏側からの「下刃」を摺っている姿勢(容易な箇所)   

 

(銘を切ってある側が「表」です)

 

←←左方向が手元部

  

   

摺り込み、ひっこき後。  

この後「上目摺り」

鋸の裏側から撮影

 上目終了 

 左端の目が 「ガガリ」

目の左部刃が「下刃」右部が「背刃、上刃」

 

ガガリにも上目をつける。

先端の光っている刃が「上目(うわめ)」

マド鋸が切るのに効率が良い根拠普通の刃が二筋の切り込みを入れ、

その内部をガガリ刃が鑿の機能で掻き取ります。

摺り込み(深くする)

右図の左端、

浅いガガリ目を深くします 

手間、所要時間は?

程度、厚味、硬度で大きく異なる

1)ガガリ刃に5〜6回、

    ヤスリ入れ

2)ヤスリ入れ回数は数十回。  

右の下刃摺りと ガガリ摺り (表裏 から)を  同時進行

3) 終了図

刃摺り終了の後、アサリと狂い取りの最終チェックを要します

刃摺り 完了

アサリの出具合が見えます

 

上目の付き具合が見えます


<<完了です>>  目が折れてしまっている箇所を残したのは残念ですが、「やむを得ません」

Before

After

 

作業を進めながら制作に関わった職人さんの姿を想像しました。 

例えば ーーー

焼き入れの際は弟子さんが長い「ひっかき棒」でフイゴによる炭火を

「良い状態」にすべく顔を真っ黒になるのも構わず「叱られないように」   

頑張っていたのだろう ーー などなど

 

  

長い期間、使われないままであった鋸が今、

  その機能を発揮し、役目を果たそうとしています。

荒れ放題の林が自然保護の意識を、お持ちの依頼主氏

グループの皆さんにより保全されることに 感謝!

制作に関わった職人さんに代わって「ありがとうございます」


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