約800度にムラなく焼く。 30年ぐらい前は、炭を使って焼いていたが、 現在は重油炉、電気炉で焼きます。 焼き温度を目で確認する為、暗くして行う。 |
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焼けた鋸を油に速やかに入れて冷却します。
昔は水、砂、泥に入れて冷却したが、 破損がひどかった。 現在ではそれぞれの刃物に適した冷却油が 開発されています。 ここまでを 焼き入れ と言います。
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焼き入れを終えたあと もどし の仕事をします。 焼き入れをしたままの鋸は鋼の組織が荒くなり、 ガラスのように簡単に壊れてしまいます。 もどし をする事により粘りが出て、曲げても折れ なくなります。鋸表面の色の変化を追って進める。 ハガネの質によって、わずかな色の変化を 見極めねばならないので、熟練を要します。 |
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この写真は、ほぼ同じ幅で20cm長さの鋼を3種類に分けたものです。 左は、炭火で焼いて冷却し、自然に冷ましてから両端を持ち折り曲げた状態。 中央は、焼入れをしてから約300度ほどで戻した状態で先端を鎚で叩き曲げた状態。 右は、焼入れした後、平らな金床に置いて鎚を一回当てただけでコナゴナになった状態。
焼入れと 戻しが刃物には如何に必要であるか? が分かりますね。 |
逸話として幕末頃江戸で土蔵破りが横行し土蔵のかんぬきが切られているので
「閂を切ることが出来る鋸は会津の中屋助左衛門作に違いない」 と製作禁止命令がでたそうです。
{ かんぬき }に用いる木材は硬質の木であるため熱処理がしっかり施されていない鋸では
容易には切れなかったでしょう。